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レポート/アンケート

上演作品振付家

YANG CHEN/Fifth Arrow

振付家・ダンサー

「KYOTO CHOREOGAPHY AWARD(KCA) 2024」

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、
特に今後の活動のプラスになったことなど。

KCAプログラムへの参加は、私にとって創作活動を根本から見つめ直す貴重な機会となりました。公演に至るまでの準備は容易ではなく、試行錯誤の連続でしたが、舞台の上で作品が具現化された瞬間の感動は、何ものにも代えがたいものでした。

今回、審査員の皆様から頂いた率直かつ的確なご意見は、今後の創作活動において重要な指針となりました。自身の作品構成における独自性や緻密さの不足を痛感しました。自らのルーツに立ち返る必要性を強く意識させられるものでした。

また、「舞台美術、衣装、動きなどからオペラの振付けにも向いている」「美術館など長時間展示できる空間の方が表現に適しているのでは」といったご意見も印象に残っています。限られた劇場空間だけでなく、時間や光が変化していく展示空間における表現の可能性にも、今後積極的に挑戦してみたいと思います。

「動きや構成の練り込みが浅い」「綺麗にまとまりすぎている」というご指摘は、見せ方における「安全さ」や「まとまり」の裏に潜む、表現としてのリスクや挑戦の不足に気づかせてくれました。創作とは常に問いを投げかけ続ける営みであり、「自分は何を表現したいのか」を繰り返し自問自答しながら形にしていく必要性を改めて感じました。

今回のKCAでの経験は、私の創作活動において確かな転機となりました。自分の未熟さを受け入れつつ、いただいた助言一つひとつを糧に、より独自の表現を追求してまいります。この経験は一過性の舞台にとどまらず、これからの創作人生において深く根付いていくと確信しています。

 

山代温泉『空間感覚で広がる振付・演出の世界2024』

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、
特に今後の活動のプラスになったことなど。

まず、「空間感覚で広がる振付・演出の世界2024」プロジェクトの8月講座では、三日間という限られた時間の中で、異なる先生方の考えや指導を受けつつ、空間環境を活かした作品を構想する必要がありました。このような短期間で情報を吸収し、アウトプットするプロセスは、独立した振付家としての能力を大いに鍛えるものでした。この過程では、振付家自身の経験と新たに得た情報が、ほぼ直感的なルートで融合されるため、その人らしい個性が際立つのだと感じました。

また、最終日の発表も非常に有意義なものでした。地元の住民と直接対話し、プロではない方々からのフィードバックを得るという体験はとても貴重でした。その意見を通じて、作品がどのように「リアル」と繋がるべきか、深く実感することができました。

その後の三回の公演とリハーサルも非常にユニークなものでした。これほど短時間のリハーサルを経て公演に臨んだことはこれまでなく、また午前中の公演を経験するのも初めてでした。天候や空間の明るさの不確定性、観客の数や年齢層、舞踊公演に対する慣れのなさなどが、私の作品をよりリアルで実験的なものにし、型にはまらないパフォーマンスを引き出してくれました。このような体験は、「空間感覚で広がる振付・演出」というテーマに完璧にマッチしていると感じます。

どのジャンルの舞踊であっても、ライブパフォーマンスアートの本質は、観客と共有する時間と空間の中での即時的な交流にあると考えています。この三回の公演を通じて、私の作品はまさにその瞬間的な空間のエネルギーを観客と共に築くことができました。そして、その過程で観客と「本当のつながり」を感じることができました。

このプロジェクトは、舞踊芸術の本質的な観点からも、地域との連携という観点からも、空間性の拡張を見事に実現していたと思います。