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ダンスで行こう!!松山『カラダでTRY ANGLE』2024出演者レポート

小泉紗奈

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、
特に今後の活動のプラスになったことなど。

今回のプログラムに参加させていただき、オーディションWSの時点からまず印象的だったのは、独特な動きやダンサー同士の掛け合いなど、瞬間的に出てきたものを奈美さんがキャッチされる速さでした。現象の面白さに沢山笑ったり興味深く質問をされたり、また、出てきたものを起点としてそこからどのような動きに繋げたり広げられるのかを深掘りされるスピード感に圧倒されました。
WSやクリエーション期間の序盤は、これからの時間がどのように使われるのだろうかと各々が手がかりを掴もうとしているような、緊張感の漂うスタジオの空気を少し感じていましたが、そのような奈美さんの笑いや、「面白い〜!」と言われながら場に転がる素材を次々に受け取られている様子を拝見し、出されたお題や与えられたフレーズをいかに純粋な感覚で受け取り自分自身の身体の動きに繋げるか、という、自分との対話に集中することが出来ました。踊る上で大切なことを改めて感じさせていただいた瞬間でした。
私は、長らくコンテンポラリー作品への出演をしておらず、一人で短い振り付けをしてスタジオで踊ることはあるものの、このようなクリエイションへの参加も社会人になってからは初めてだったので、自分が参加をさせていただきどのくらい表現出来るかが、正直、未知でした。しかし、この未知な状態で奈美さんのエネルギーに触れさせていただいたことで、自分の好みなどの不必要な偏りに引っ張られることなく、いい意味でシンプルに取り組めたと感じています。
ブランクを経て、また踊りたい、と思いコンテンポラリーダンスを再開したタイミングでの参加にもご縁を感じております。ありがとうございました。

プログラムに対してのご意見・ご感想など。

また、制作の現場に参加させていただく中で、アイデアから作品化するまでの、作品を構成する色んな中身のそれぞれの仕上げ方を近くで見させていただいたことがとても貴重な時間でした。具体的には、“奈美さんのお題と、そこから出てきたダンサーの動き”で止め、一旦見る距離を変え、そこから、“単体で見ていたダンサーの動きを、複数人全体を1つと捉え、その景色を一つのフレーズとして見てみる”みたいなことです。素材に合わせた色んなパターンの抽象化と細分化の往復によって、素材だったものが段々と何かを伝え始め作品になっていく様を垣間見ることが出来ました。現象を見て驚かされ、流れを聞いて納得、の連続でした。

田中伸幸

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、
特に今後の活動のプラスになったことなど。

ワークショップからクリエーション期間を通して、常にダンサーの気持ち・モチベーションを保たせ続ける雰囲気を感じた。日々のクリエーションの時間を終えた後、どれだけの時間をかけて次のシナリオを決めていたのか、ダンサーと離れた場でどれだけ作品に向き合う時間を割いたのかは計り知れないが、翌日には「昨日のここをこうしてみよう」というアイデアが用意されていてすごいと感じた。創作において、振付家としてやりたいこととダンサーが応えることのバランスを上手く取っていただいた。

そのため否定の少ない環境で作品に向き合うことができ、自分が今まで使わなかった動きを生み出すことができた。自分の理性やロジックで動きに制限をかけるのではなく、良い意味で無責任に体を動かすことで、新たな動きにたどり着けた気がした。さらに、自分の思考の外にあるような意外な振りを生むためのプロセスを学んだ。自分の価値観で面白いと思うものからずらした動きが、自分や観客にとってどんな解釈を生むか、とても興味の湧く期間であった。大学で所属しているダンス部や、その他創作ダンスに取り組む今後の経験において活かしたい。

また、本番前の平日5日間を集中的にクリエーションに使う特殊な日程を過ごし、ダンサーとして効果的に作品にのめり込むことができた。
クリエーションだけでなく、公演後に実際にダンサーや振付家として活躍されている方にお話しいただけたことも有意義であった。今後も創作と向き合う機会があると思うが、褒められた、また自分の強みだと考えている個性や芯を、自信を持って押し出していこうと思えた。

小坂田文乃

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、
特に今後の活動のプラスになったことなど。

プロの方はどのように作品を作られるのか、立ち位置や動き方、動いている時の意識など細かなところまで勉強になりました。なみさんの世界観が存分に味わえる作品だったので全てのことが新しく、とても楽しかったです。今回得た経験を元に今後の作品創作を進めていきたいと思います。

 

ミサト

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、
特に今後の活動のプラスになったことなど。

・舞台で居ること。在ること。を経験しました。普通で在ることの難しさ。と、普通で在る表現方法を学んだ。(今後の稽古材料)
・自分の面白いと思ったことを大切にする。
なみさんの、ずーっと笑っている姿に、助けられ、楽しみ、救われた。自分の好きな事するってまさしく、ずーっと笑って居られる。
・困っても、なんかないかなと探し続ける。し、絶対見つかる。と、信じている。
・面白いと思うことを、自分の視点から、感覚から見つける。
・自分の作品の1番のファンは自分である。だから、楽しめる。
・作品を作るにあたり、1番面白いと思うものを省く。大切にし過ぎる。固執してしまう。逃げられなくなる。必要ないのに捨てられない。
・思いを馳せること。のおもしろさ。
・その場所や、カラダに、エネルギーが残る余韻を感じる心地よさ。

得居幸

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、
特に今後の活動のプラスになったことなど。

これまで交流はあった山本奈美さんの作品に携われる機会はなかったので、とても貴重な体験をする事ができました。また、若い世代や観客の皆さんに、奈美さんという人を紹介できたこともとても良かったと思います。この人は、もっと松山はもちろん、様々なダンス関係者に知ってもらうべき人だとずっと思っていたので、そのきっかけに今回なったのではと思います。
クリエイションの時間では、出演者への言葉の掛け方やどんなエネルギーを出し参加者を動かしていくか。誉めながらもいらない癖や邪魔になるダンサーのエゴを取り除いていきつつ、作品に集中してもらえる環境を作っていく様を、そばで見聞きでき、私自身今後振付けをする上での参考に、とてもなりました。
NYと松山という遠隔で、どうダンサーに次会うまでの準備をしてもらうか。課題の作品への活かし方や、個々の個性をその課題からも見つける方法なども面白かったです。
かなり経験値も年齢も違うダンサーが集まったので、どう一つの作品として、誰かが悪目立ちせず成立させるのかという点も興味がありました。それぞれに作らせつつまとめるという方法をベースに置くことで、自信を持って一人一人に踊ってもらう。安心できる場所で、自分を解放させていく、もしくは変容させていく方法は、時間の限られた短いクリエイションではとても効果的だと思いました。その中で大学生の「少しずつ自立して大人になっていく過程」にも立ち会えて嬉しかったです。