〈ダンスでいこう!!特待生レポート②〉泰山咲美 from 松山【参加プログラム/全国+北九州:短期集中ゼミ『振付を探る9日間の冒険』】
2024.12.26
コンテンポラリーダンス新進振付家育成事業2024〈ダンスでいこう!!特待生レポート②〉
「ダンスでいこう!!」2024の特待生、愛媛県松山市を拠点に活動する泰山咲美さんのレポートをお届けします。ぜひご覧ください。
👉参加プログラム【ダンスでいこう!!2024】
全国+北九州:短期集中ゼミ『振付を探る9日間の冒険』について
連続講座:オンライン4回 2024年11月4・11・18・25日(月)
対面ワークショップ:9日間 2024年11月30日(土)~12月8日(日)
対面ワークショップ会場:J:COM北九州芸術劇場 創造工房・稽古場
■講師:チョン・ヨンドゥ(Jung Youngdoo)/韓国
■ゲスト講師:スーザン・バージュ(Susan Buirge)/仏
プログラム詳細▶️ https://choreographers.jcdn.org/program/d24_kitakyusyu
私は、「振付を探る9日間の冒険」プログラムに参加させていただきました。プログラムを終えて2週間ほど経ちますが、正直まだまだ整理できていない自分がここにいます。今回ヨンドゥさんが私たちに投げかけてくれたことは、この9日間で完結する内容ではなく、むしろ舞踊について太く長い研究と実験の始まりのきっかけをいただいたという感触があります。
zoom講座を含め、ヨンドゥさん、参加メンバーとは1ヶ月以上「振付を探る」時間をともにしてきました。今回のレポートでは私個人の解釈と印象に残ったことを整理しながら書き記させていただこうと思います。
はじめに、ヨンドゥさんから「振付」とはどのように構成されているものなのかをレクチャーいただきました。そこではまず、文章に置き換えてみる実験を行いました。
私たちの会話にはどんな内容でも主題と素材があること。そして会話は一つの話題が連結しながら進んでいくということ。これを「振付」で捉え直してみると、
・振付において、「動き」と「動き」は連結し合う。
・フレーズとフレーズには関係性がある。(関係がない(話題が変わる)ということも含め
て。)
今回のワークショップでは、このような構造を踏まえて「動き」そして「動きのバリエーション」を実験的に作っていくという目的で行われました。
レクチャーの後は各自、「動き(単語)」と「フレーズ(文章)」を作るクリエーションの時間です。動きを作る上では感情や欲望は抜いて、身体のもつリズムや自分だけの色を抽出することが重要とのことでした。
まずは短いフレーズを作り、ヨンドゥさんにアドバイスをもらいながら自分を探っていきます。この作業は、なんだか美術のデッサン画を見てもらう時の感覚と似ています。
今回のワークでは、「振付」を文章や音楽、美術の視点から捉えるということを多く行いましたが、私の中では自分という対象物をデッサンして線を足したり削ったりしながら、自分だけの「動き」を炙り出していく。それを発展させてといく。という作業に近かったように思います。
デッサンは絵を描く上で全ての基礎になります。キュビズムに辿り着いたパブロ・ピカソも、実は圧倒的な画力を持ち写実的な絵を描く画家であったように、振付(舞踊)においてもやはり基礎があってこそなのだと、実感しています。
2日目の特別プログラムでは、コンテンポラリーダンスの創始者の一人であるスーザン・バージュ氏による公開トークに参加しました。この時間は私にとって本当に大きな出来事でした。内的なもの(分子・粒子)の結びつきについて、今まで自分の中で感覚的だと思っていたものは、物質(Molecule)が実際に身体と身体・身体と物体との間で交換されているのだと聞いた時、全てが腑に落ちて感動しました。そして今もまさに、スーザンさんと私たちはMoleculeを交換し合っている・・・!歴史は今を生きる私たちに繋がっている。
スーザンさんから受け取るものがたくさんあって、あっという間の3時間でした。貴重なトークを本当にありがとうございました。
さて、WS後半には「Choreography(記録する・書き記す)」についての研究として、ショーイングに向けて舞踊譜の作成も行いました。また、毎日クリエーションの最後に行われる発表と、メンバー同士によるフィードバックでは、ただ感想を述べるのではなく作者のコンセプトとプロセスを尊重し分析的なコメントが必要であり、私たちにとってはまさに特訓の日々でした。
ストイックに研究し実験する傍ら、ワークの後にはメンバー同士で話をしたり、ヨンドゥさんやみんなで北九州の美味しいものを食べながらざっくばらんに語り合ったりと、たくさん対話を重ねた日々でもありました。
そして最終日のショーイングでは、ソロを計4回ずつ踊ります。ちなみに私はくじ引きでデュオを2回引いたので、6回踊りました!(笑)
ショーイングを発表とは捉えず、研究と実験の延長として行うという主旨からも、このプログラムで得た内容はここで終わるものではなく、むしろここからが始まりである。と背中を押してもらったように思います。
私には今、ブラッシュアップして再演したい作品があるので、今回得たことを今後も咀嚼してアウトプットを続けながら、創作に生かしていきたいと思います。
レポート:泰山咲美(たいざん・さきみ)
👉「ダンスでいこう特待生」制度:
これまでにJCDNのコンテンポラリーダンス新進振付家育成事業に参加したことのある振付家が「ダンスでいこう!!」特待生対応プログラムにおいて、受講料の免除、移動費の補助等によるサポートを受けられる制度(サポート内容はプログラムにより異なる)。
2024年度の応募要綱▶️ choreographers.jcdn.org/opencall/d24_tokutai_yoko
👉泰山咲美 過去の参加プログラム:
「Enjoy Dance Festival 2023ーダンスを楽しむ2日間」
泰山咲美「Re:Signal Circuit」(松山)
※「ダンスでいこう!!」開催地からの推薦作品として
プログラム詳細▶️https://choreographers.jcdn.org/2023/program/endanfes2023-a.html