KCA2024振付家インタビュー② YANG CHEN(ヨウシン)
空間と身体、音楽と身体の関係性から「集団的無意識」に切り込む
掲載日:2025/01/15
聞き手:山田洋平(山田企画代表、舞台芸術家/KCA2024書類選考委員)
インタビュー実施日:2024年12月8日(日)※オンライン実施
来日までのキャリア 山田: 僕たちは山代温泉※1で一緒に時間を過ごしていますが、改めて最初からお聞きしたいと思います。ヨウシンさんは中国出身で、今、武蔵野美術大学大学院の修士2年生。日本にはいつからいらしてますか? YANG: 日本には2022年の6月に来ました。まずは半年くらい、語学学校で日本語を勉強しました。 山田: 大学に入るために日本に来たんですか? YANG: そうです。 山田: では、日本語学校に半年通ってから武蔵野美術大学に入学した、という形ですか? YANG: はい。 山田: ヨウシンさんのキャリアを拝見すると、まずは四川音楽学院舞踊学院古典舞踊パフォーマンス教育専攻となっていますが、そちらでは最初は何を学んでいたんですか? YANG: 中国のクラシックダンスでは、4年間にわたり基本功の訓練を行いました。具体的には、柔軟性、技巧(ジャンプ、ターン、アクロバット)、古典舞の身韻(身法と韻律、袖法を含む)などです。また、中国の民族舞踊も学び、チベット舞踊、モンゴル舞踊、秧歌(ヤンガー)※2、タイ族舞踊などを習得しました。その後、1年間のコンテンポラリーダンスの学習も加わりました。 ダンス以外にも、中国の秧歌におけるリズム(鼓点)を学ぶ音楽リズムの授業がありましたし、政治や一般教養科目も履修しました。 山田: そこで、古典舞踊とコンテンポラリーダンスを始めたということですか? YANG: はい、そうです。 山田: 中国のクラシックを学び始めるきっかけみたいなものは、あったんですか? YANG: ダンスの始まりは学部からではありません。6歳くらいからダンスの勉強も始まりました。大学に入る前はずっと、ヨーロッパのクラシックバレエを勉強しました。 山田: バレエを学んでいて、何か目的があって、中国のクラシック舞踊を大学で学び始めたんですか? YANG: 特に目的はありません。小さい時からバレエと中国の民族舞踊も勉強していて、高校時代はずっと大学受験のために中国の古典舞踊と民族ダンスを、試験のために準備していました。 山田: ヨーロッパのバレエと中国の舞踊を一緒に学んできたということですが、音楽だったり、動きの技術だったり、踊りについて違うアプローチをしていたと思うんですが、どんな違いがありますか? 基本は同じですか? YANG: 全然同じではないですが、でも似ている部分も結構多いです。中国のクラシック舞踊の訓練のシステムは、もともとソ連のバレエのシステムから受け取ったものです。 山田: なるほど。そこから音楽学院に行って、ダンスだけでなく、芸術全体を総合的に学んだっていう形なんですか? YANG: いいえ、違います。中国の舞踊の教育は、まずは身体の柔らかさとか、ジャンプの能力とかいろんな基礎訓練があります。そして、中国のクラシックダンスには他のジャンルと比べたらすごく特別なものがあります。呼吸に関することで、それは「身韻」といい、それの勉強もしなければならない。そして、民族舞踊の勉強や打楽器の練習もしなければなりません。その他のものは特にありません。例えば美術系のものはありません。 山田: そこを卒業した後に、武蔵野美術大学の映像学科メディア・アート研究室に行ったっていう流れですか? YANG: いえ、大学4年生の時はもうコロナの時期なので、もともとは中国の大学を卒業したらすぐ日本にすぐ行きたかったけど、でもちょっと無理。だから、卒業して1年間は、ソロダンサーと演劇の俳優として、自分でいろいろな公演に参加しました。 山田: この時俳優としても活動するし、ダンサーとしても活動する時期があったということですね。 YANG: はい。
|
中国での大学卒業試験の様子(2019年12月) |
ダンス以外の表現領域への関心 山田: この1年間があった後に、武蔵野美術大学? YANG: 後は日本に来て、語学学校でムサビ(武蔵野美術大学)の試験の準備をして、ムサビに。 山田: 行ったわけですね。でも、入学したのが武蔵野美術大学の映像学科のメディア・アートということで、だいぶ今までのキャリアと違うことを勉強し始めたと思うんですけれども、なぜ映像学科に行こうと思ったんですか? YANG: 日本に行きたい理由のひとつは、日本の戦後美術が好きだから。日本の空間とか美術、デザインとかを勉強したい。だから、まずは美術大学を目標に準備を始めました。ムサビの映像学科を選んだ理由は、今の教授の先生です。その先生は、パフォーマンス・アーティスト、サウンド・アーティストとして、30年、40年ずっと芸術活動をしている人。その先生は、日本人じゃなくてフランス人です。 山田: お名前は? YANG: クリストフ・シャルル。 山田: (その先生のことは)中国にいる時から知っていたんですか? YANG: 違います。日本に来てから知りました。 山田: じゃあ、今はこのクリストフ先生に付いて、映像、メディア・アート、音楽パフォーマンスを学んでいるということですか? YANG: はい、そうです。 山田: 経歴によると、パリ国立高等美術学校に交換留学で行っていた。 YANG: 交換留学、まあ訪問。うちのゼミでは、今年(2024年)2月末からパリの高等美術学校で同じメディア・アート研究室に行き、コミュニケーションのパフォーマンスとかをしました。 山田: なるほど。ダンスだけでなく、ダンス、音楽、映像と、いろんなものを総合的に学んでいるような印象を受けます。自分が作品を作るときにも、同じ考えで、総合的に作品を考えて作るっていう、そんな作り方をしているんですか? YANG: はい、そうです。大学3年生の時から、ずっとダンスや身体だけじゃなくて、空間に興味を持っていました。身体と空間の関係性を探したい、勉強したいと思いました。空間以外にも、自分はすごく音楽が好きなので、日本に初めて行きたかった理由も、「フジロック」に行きたかったから。それで、音楽と身体の関係性を探求したい。 大学卒業した後の1年間はすごくいい経験だったと思います。ダンスだけでなく、演劇の経験もして、人間の身体と言語コミュニケーションと社会、モノとの関係性にも気付いた。そして、大学院のゼミの学生にも、いろんなジャンルの人がいます。映像をやっている人、インスタレーションとか実験音楽とか、映画の監督もいます。なので、みんなでよく一緒に作品を作ります。 山田: そうですね。今回もいろんな方とKCAに向けて作品を作っていますね。えっと、今名前が出ているのが、舞台美術のバ メイカンさん。 YANG: はい、バ メイカンさんは、うちのゼミの博士です。 山田: そうなんですか。あと、出演の三木珠瑛さん。 YANG: 珠瑛さんはダンサーです。 山田: リ イジュンコさんもダンサーですね。 YANG: そうですね。 山田: チョウ ゼイセイさん。 YANG: チョウさんもダンサーです。もともと、中国民族舞踊のダンサーです。 山田: 今回(の出演者)は全員女性ですか? YANG: はい、全員女性です。 山田: ここ(ウェブサイト)には音楽については載ってはいないんですが、今回音楽は使う予定ですか? それとも今回は言葉を使う? YANG: 音楽も使います。音楽は私の友だちが作ってくれた音楽です。言葉の部分はまだ検討中です。 山田: 自身はダンサー、演劇俳優として活動しながら、ヨウシンさんの興味がどんどん広がっていっているような気がするんですが、そういった興味の広がりは、ダンスだけでは表現しきれないことがあるのかなと気になってきました。多くの場合、ダンスをやっている人はダンスに一番興味があって、他の美術や音楽についてそこまで興味を持っていなかったり、あまり知らないように思うのですが、ヨウシンさんは美術だったり、音楽だったり、何かをきっかけに世界を広げていっているような印象があります。そういった興味を広げていく理由みたいなものって、何かありますか? YANG: 私にとって最初の部分は、音楽(によるところが大きい)。音楽を聴くと、すぐ頭の中に空間のイメージ、シーンが出た。そのシーンの中にはダンスもあるし、他のモノも存在しました。自分もそのシーンの中にいました。雰囲気は私にとって一番大事なものかなと思います。その雰囲気は、身体だけの存在じゃなくて、ダンサーとその時の空間、その時の雰囲気とその空間の中での存在、他のモノとの関連性もすごく気になる。 (興味が広がる)きっかけはたぶん、大学3年生、4年生の時、校外のコンテンポラリー・ワークショップに参加したことです。そのワークショップの先生は、コンテンポラリーダンサーだけでなく、インスタレーションの先生もいるし、サウンド・アーティストもいるし、その授業を受けて、世界観は広がりました。その先生たちは、イヴ・クラインとか、いろんなパフォーマンス・アーティストを紹介してくれました。彼ら有名なアーティストたちの作品は、やはりパイオニアとしての影響力がすごく強い。私も彼らの作品を見て、もうちょっと身体以外、もうちょっとエモーションとか、世の中の隠れたものと人間の関係性を探したいと思いました。その時から、この問題をずっと考えています。 山田: なるほど。世の中の隠れたものとの関係。なかなか見えなかったり、気づかなかったり、ちゃんと探さないと見つけられないものとの関係性みたいなものが、面白いなぁと思います。
|
来日前の中国での公演(2021年7月)
来日前の中国での公演(2021年9月) |
「chairs」シリーズについて 山田: 少しずつ作品のことについても聞いていきたいと思います。今回の作品「chairs:囲碁」は、「chairs」シリーズの5作目ですか、4作目? YANG: KCAで上演するものは5作目です。 山田: どのようなコンセプトで、この椅子っていうモチーフを選んでいるんですか? YANG: 最初はパリ国立高等美術学校の教会の中で、みんなが会議している時、その建築物の中にいろんな違う椅子があり、その時、私にひとつの考えが浮かびました。椅子は人間が座るものですが、座るという瞬間の物理的なイメージ以外に、その椅子に座っている人間の立場、それから文化、どの国のどの文化、どんな人生の経歴があるかなと考えました。 山田: 椅子に座るという行為や、そのムーブメント、活動っていうものをある文化の比喩、メタファーとして見ているっていう形なんでしょうか? YANG: はい、そうです。私、メタファーが大好き。 山田: 確かに椅子をメタファーとして見るっていうのは、すごく興味深い点ですね。この椅子っていうものをモチーフにして、やっぱ異なる文化背景とか、その個人の経験とかっていうものを作品化しようと考えていると思うのですが、ここ(ウェブサイト)に集団的無意識っていう言葉も書かれています。先ほども、世の中の隠れたものとの関係っていう言葉をおっしゃっていましたけれども、この集団的無意識っていうのは、どんなものとして捉えているんでしょうか? YANG: 私にとって、集団的無意識とは、ユング心理学の理論に基づく概念で、人間の心の深層に普遍的に存在する無意識の層を指します。それは、個人の経験に基づく個人的無意識とは異なり、人類全体に共通する象徴や原型(アーキタイプ)を含むものです。この視点から見ると、社会の中で共有される無意識的な態度や行動のパターンが、現代の多くの現象に現れていると感じます。 例えば、ある社会的事件が発生した際、それが自分に直接関係しないと感じることで無関心を貫く傾向は、個々人が集団的無意識の影響を受け、共同体全体の心理的パターンに従っている表れともいえます。また、女性に不利な状況や歴史的に構造化された性差別に対して「慣れてしまう」現象も、集団的無意識に埋め込まれた過去の社会的構造や価値観の反映と捉えることができます。 さらに、政治や経済の問題といった個人に深く関わるテーマについて、目を背けたり回避したりする姿勢も、集団的無意識の中に刻まれた「現状を維持しようとする心理的メカニズム」が影響していると考えられます。これは、安心感や安全性を求める本能的な衝動が、社会全体の行動や価値観を形作っている一例です。 または、会社の中にもこういう集団的無意識はいっぱい存在していると思います。集団的無意識は、私にとっては、ルールの中で生活している人間のある特徴(だと思います)。 ダンスにおいて、集団的無意識は非常に分かりやすく表現されると思います。この無意識は、人間の身体が過去の経験や文化の影響を通じて無意識に習得した動きや表現に深く根差しています。身体から自然に出る動きや語りは、私自身を形作る要素であり、集団的無意識の中で蓄積された文化的記憶や象徴の表れでもあります。 例えば、「ヨウシン」というキャラクターがこれまで受けてきた文化的な影響は、私自身の身体を通じて自然に現れるものであり、それは私が属する社会や文化の集団的無意識と深く結びついていると感じます。こうした動きや表現を通して、集団的無意識の影響が現在の私を創り上げていることを改めて実感します。 山田: そうですね。人の立ち振る舞いが文化から受ける影響は、とても大きいと思います。今回の作品では、その集団的無意識っていうものそのものを舞台上に表出させようとするのか、あるいはそれが望ましくない、ネガティブなものであったら、その問題を提起しようとするのか。ヨウシンさんは、集団的無意識をどうやって作品の中で表現したいと考えていますか? YANG: 具体的な動きではなく、作品全体を見た後、少しだけその部分について考えさせられたら、というのが私の希望です。
|
パリ国立高等美術学校での「chairs」初演(2024年2月) |
創作のプロセス 山田: ヨウシンさんは、コンセプトがまずあって、そこから作品を組み立てていっているんですか? YANG: 難しいな、この問題は。今山田さんが言われたコンセプトじゃなくて、最初にはキーワードがあります。そして、そのキーワードの間の関係性を探したい。探してから、コンセプトになる感じです。キーワードは私の直感としてまず存在して、作品を作る前にダンサーとか美術家とか、そのグループのチームメンバーと何回も何回もミーティングをする。みんなはここのキーワードをどういう気持ち、どういう考え方を持っていますか? そういう流れがまず存在して、みんなの気持ちを、みんなの考え方をまとめて、もう一度私が自分と対話する。そして、今ウェブサイトに載せているようなものが出てきました。 山田: なるほど。本当に最初からこのチームメンバーがいて、そこの中で対話しながら作品をどういう方向にしていくかっていうのを、みんなで考えて作っているっていう感じですかね。 YANG: そうです。 山田: メンバー選びっていうのも、ヨウシンさんの作品の中ではとても重要なところですね。 YANG: つながりが存在している人間です。「chairs」以降のダンサーは、2人の日本人と2人の中国人で構成しています。 山田: そのメンバー選びには、何か意図はあるんですか? YANG: 全員中国人にはしたくないです。全員日本人にもしたくないです。日本と中国の両方の身体がほしい。三木さん、三木珠瑛さんはもともとダンサーじゃなくて、でも日本から中国に行った後、いくつかのダンスイベントとかに参加していました。園ちゃん(上田園乃さん)は、今回の(山代温泉での)「VISION+」でソロを見てすぐに誘いたいと思いました。 山田: 異なる文化を持つ身体が欲しいんですね。それすごく面白いですね。 YANG: リ イジュンコさんとチョウ ゼイセイさんの身体も全然違います。リ イジュンコさんは、もともと中国クラシック舞踊のダンサーで、大学卒業した後はずっとコンテンポラリーダンスのパフォーマンスをやっていた。でもチョウさんはプロのダンサーですが、まったく違います。 三木さんはもともとダンサーではありませんが、すごくコンテンポラリーな身体です。日本っぽい。三木さんの身体の中には、日本の精神が入っている感じ。 山田: ダンサーだけでも、すごくいろんなジャンルと背景というか、歴史、文化が入り混じっている感じですね。 YANG: 今回の「chairs」以降の4人は、まったく違うキャラクターを演じる予定です。 山田: 今回KCAに応募した際の映像資料の中でもいろんな国の方々が出演されていたので、今回も受け継いでいるように思いますね。 YANG: 応募するときに送ったのは、(フランスの)アビニョンでパフォーマンスした時のビデオ。確かに、アメリカ人とかフランス人、中国人、日本人、モロッコの人もいます。 山田: (映像の中では)ヨウシンさんが中国舞踊を踊っていましたね。あれもすごく象徴的なメタファーとして使われていたように思いました。障子の中にヨウシンさんがいて、自由に動く人たちとの動きの対比がすごく活きていたように思います。今回、初演や映像を撮ったアビニョンの時とは、形を変えていく感じなんですか? YANG: だいぶ違います。
|
アビニョンでの「chairs」上演(2024年3月) |
囲碁について 山田: なるほど、これは楽しみですね。今回さらに囲碁という言葉を加えています。この囲碁は、白と黒の石で打つ囲碁ですよね。これは中国でも日本でも同じですよね、ルールとか。 YANG: ルールはわかりません。 山田: たぶん同じような気がします。今回、この囲碁っていうゲームを入れてきたことには、どのような意図がありますか? YANG: まずはコンセプト。私にとって囲碁は白と黒、またはルール、強いルールが存在している。ルールというものは「chairs」シリーズの中心、中心の一部だと考えます。また、山田さんが言われた通り、日本と中国の二つの国でも、囲碁が好きな人とか、昔からやっている人もいっぱいいますよね。同じ文化かな。または、色。今回の作品も、白と黒、二つの色しか使わないです。 山田: なるほど。ルールっていうものとか、さっき言っていた集団的無意識とかいろんなものが本当につながっている感じがしますね。椅子っていうところに隠れた文化だったり、ダンサーの身体それぞれの持っている文化とか、精神性とかっていうものを宿した身体っていうものがあって、さらに囲碁っていうルール、あるいは白と黒っていう色のモチーフとか、そういったものを用いながら作っていく。 作品が目指す方向性みたいなものは、だいぶ見えてきた、教えてもらったような気がします。ヨウシンさんの中であるひとつの中心線みたいなものは、もうちゃんとあって、その中でいろんなつながりの中から生まれてくものを探していこう、その中で創作していこうっていうような、アーティストとしての態度みたいなものが見える気がします。 YANG: ありがとうございます。「chairs」シリーズの作品では、私にとっても疑問なものを提出していて、見る人がどういう見方をするのか、すごく気になります。 山田: そうですね。「これが答えです」っていうのではなくて、ヨウシンさん自身の疑問を提示していくっていうのはすごく良いですね。作品を見た後に、お客さん同士でも対話していくと、また楽しいのかもしれないですね。
これからの活動-身体を通して心をつなぐ 山田: ところで、ヨウシンさんは自分ひとりでの公演をやったことがあったり、これからやっていきたいということはあるんですか? YANG: 確かに日本に来た後は、ほとんど全部チームワークです。自分のソロパフォーマンスもありますけど、全部即興です。もしもし時間があれば、自分のソロ公演も絶対やってみたいですけど、今はちょっと時間がなくて難しいかな。 山田: でも、日本で作品を作るっていうのは、言葉の問題もあったりして、なかなか難しい面も多いんじゃないんですか。それでも、今は日本で活動して、日本で作品を作っていくというビジョンなんですか? YANG: 特に日本とか中国というこだわりはありません。でも、やっぱり日本で引き続き創りたいです。やはり日本の小劇場、小劇場の文化が好きだから。 今までゼミでの活動はほとんど全部即興なので、もし来年チャンスがあれば、やはり山田さんが言う通り、自分なりのちゃんと練習した後の公演もやってみたいかな。 山田: それはぜひやってほしいですね。じゃあ最後の質問として。今回京都で作品を上演されるんですけど、京都は初めてですか? YANG: 初めてです。 山田: 今回はコンペティションということで、一応審査の場ではあるんですけれども、一般のお客さんも京都やその周辺からいらっしゃると思います。お客さんに対してメッセージはありますか? YANG: 例えば今回(山代温泉の)専光寺で公演した後、女性の方の評価を聞くと、すぐ「I want to cry」なんですよ。そういう気持ち、なんだろう、心と心のつながりが出たと思います。もしメッセージが必要ならば、言語は通じないけどでも、身体だけでみんなの心をつなげたいかなと思います。
※1 「ダンスでいこう!! 2024 山代温泉:空間感覚で広がる振付・演出の世界2024」 ※2 中国漢民族の民族舞踊。田植え踊りが起源と言われている、豊穣祈願の一形式。
|
武蔵野美術大学での「chairs」上演(2024年7月)
山代温泉で上演された「chairs:対話」(2024年11月) |
KYOTO CHOREOGRAPHY AWARD 2024 YANG CHEN (ヨウシン)/Fifth Arrow(東京)
山田洋平(ヤマダヨウヘイ) |