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出演者・参加者

ダンスでいこう!!石川・山代温泉『空間感覚で広がる演出・振付の世界2023 vision』参加者レポート

五十嵐香里

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、
特に今後の活動のプラスになったことなど。

1. 山田さんの自己紹介ででてきた「場を作る=価値観の提示」というのが一番の学びだった。私の活動である、ダンス・身体調整指導・気力回復支援活動はぜんぶまとめて私の創作活動だと理解してくださった第一号はTHEATRE E9 KYOTOのあごうさとしさんだったが、それ以外の理解者を見つけられなかった。特殊なものの見方で一般性がないのかなー、その創造物はなんと名付ければ理解されるのだろうと不安になっていたのだが、この言葉に出会って安心したというか、まさに「光あれ」の瞬間だった。あとはそれを見て「良し」とすればいいだけかもしれない。
2. 神前さんに再会したことも幸運なことだった。私に「すべての人の身体は平等にあるという価値観」があることを指摘してくださり、私の「言葉の選び方はとても面白いが、それをあえてダンスにしようとしているところに意味がある」というコメントをくださった。とても励みになる。
3. 杉浦さんの舞台美術のお話も刺激的だった。舞台美術というと私には到底手の届かない高額なものと思い込んでいたが、知恵によって効果的なことが叶えられること、思い付きではなく実験によって得られること、を学ぶことができた。まったく考えたことのない分野だったので、今後の作品に追加できるものが大きい。
4. 島さんのお話は、というか島さんのくるくる変わる視点の在り方には広がりがあり、演出をするというのはこういうことなのだろうな、と感じた。島さんのお話しを伺う中で、私の特性がデザインや舞台美術や音楽ではなく、こちらにあるのだとはっきりと分かった。今後、苦手なものを避けようという意味ではなく――むしろ苦手なものをやる方が追加できるものは大きいと思うが――特性も大切にしようという気が起こった。

プログラムに対してのご意見・ご感想など。

①宿泊施設のそこここに見られる美意識が素晴らしかった。トイレのノブは青に塗ってしまってわざわざ流木の取っ手をつけている、しかも、取っ手に打ってある釘は木の地肌にあわせて金色、だとか、盆栽の下に敷いてある皿の色や柄がその植物の葉の色等に調和がとれている、コーヒーも炒ってから日が立っていないでお湯を注ぐと膨らむもの、など挙げればきりがない。特定の日の特定の時間に舞台上で完結するような「ダンス」より、はるかに意味と広がりのある良さだと思う。宿についてすぐに、このワークショップはいいものに違いないと確信できた。
②将来的にまた山田さん企画のWSに参加したいと思う。しかし、今回のWSは時間の縛りが長かったのが私には辛かった。すべて全員参加という形でよいのだが、そこから抜ける自由も欲しいとおもった。私はeat, sleep, poop, peeを大切にする必要がある。私の疾患は不具合が起こる「可能性」の疾患なので、理解を得るのが難しい。バランスをとり続けることへの理解はなかなか得られない。知らない人ばかりの環境だと何か起こった時への恐怖も大きい。足が一本ないなどの目に見える障害は障害の変化がゆっくりだが、不具合が起こる可能性は分単位で電池切れのようになったり元気になったり変化が急激なので、単に態度の変な人に見えたりするようだ。いろいろ難しい…。すべての人に理解を求めるわけではないのだが、必要を感じたときに休息が取れる自由は、周りに迷惑をかけないためにも必要だったりする。

元井康平

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、
特に今後の活動のプラスになったことなど。

ダンスをしないレジデンスに参加するという刺激。ダンススキルでの優劣や先入観なしで互いを見つめ合い、価値を認め合いながら学び話す時間がとても有意義でした。とはいえ各々がダンサーであり、表現をする人々で、関係者含め、集まった人々がお互い何を持ち帰れるか?と考えたとき、自由度のある企画で言われたことだけを”指示・条件・演出”として受け取る必要はないと感じ、空間全体をお客さんに見立てて、プレゼン中に踊りながら話すことを発表時の”言語”としてに選び、終了後残ったメンバーでのジャムセッションの提案を行いました。主観的な目線にはなりますが、結果的に対話・身体の交流も深まったことで実りある時間に繋がったように感じています。ただその選択も、おそらく主催の方々が言葉や条件で固定化しすぎないゆるやかなディレクションのおかげで生まれたもので、結果あのメンバーでしかできない学びと気づきの時間にだったように感じます。今回の企画から、自身が一歩踏み出す・俯瞰するなどの選択によって変わる空間や視点の意義を感じています。企画自体も実験的で、講師のラインナップも独特でとても興味深い視点にあふれていたことも印象的でした。一日目は一社会人としてのビジネスセミナーに近いシステムを感じましたが、表現者同士でそれを行ったことが、互いのリスペクトにあふれる中での二日目にも繋がっていたと思います。地方都市、観光地、湯治場、宗教、思想、食、そして芸術。様々なVISIONの絡み合った素晴らしい二日間でした。皆様本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

プログラムに対してのご意見・ご感想など。

チャットや掲示板などがあるわけではないので、全体的に参加者・運営の皆様の動きをつかむことが少し難しく感じました。入り時間やアウトの時間、企画全体の細かな余白や交流の時間などを会のスタート時や自己紹介時などに共有頂くこともあってもいいように感じました。

萩原梨央(峯田唯禾)

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、
特に今後の活動のプラスになったことなど。

「自分自身の不完全さも受け入れて、作品を創ること。一度作って完成、ではなくブラッシュアップしてとにかくいいものにしていくこと。」という創作に対する基本姿勢が改めて学べました。また、「知識や歴史を知らないと、自分がこの大きな時代の文脈でどこにいるのかわからない」ということも、勉強になりました。何より、参加者の方々の創作意欲の高さに刺激を受けました。私の眼差しや、モノの見方は経験に基づく自分で手に入れた価値観なのだという自信を得ることもできたのが良かったです。

山本恵美

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、
特に今後の活動のプラスになったことなど。

2日間のワークショップ、お疲れ様でした。とても有意義な時間に感謝しております。ワークショップでは、参加者の方からの柔軟なら発想にとても刺激をうけました。皆さんの感性から多くを学ばせていただきました。
ワークショップでは、あるテーマ性のあるものを
角度を変えて考察し、作品作りに落としこんでいるという、着目点をいただき、これからの活動にプラスになりました。

プログラムに対してのご意見・ご感想など。

全て座学だったのですが、座学だけじゃないプログラムがあっても良いように思いました。
差し当たって何と思いつかないのですが...。

田中彩

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、
特に今後の活動のプラスになったことなど。

本当に、自分一人の頭だけでは得られないような学びを体全体で受け取った感覚があります。自分が今立っているところと、たくさんの方々との共感と比較を通して、以前より足場が少し固まったような感じです。
山代温泉に来る前に、写真家の畠山直哉さんと文筆家の大竹昭子さんが対談された本『見えているパチリ!』を読んでいて、印象的な文章がありました。「〜物事にどのくらい関心がもてるかとか、一つの事柄からどれだけ多くの意味が引き出せるかとか、周りをどのくらいよく見聞きして積極的に反応しているかとか。「教養」は勉強的なものじゃなくて、その人の成りみたいなものになってくる」という畠山さんの言葉です。学びを得るとなると、ついつい頭でっかちに私はなってしまうのですが、手を動かして、体を動かして体全身で学ぶことが「教養」となるということなのかなと思い、山代温泉での学びはそういう意味で私にとって、とても価値がある体験でした。

山代温泉では、街の人々と一緒にお湯に浸かり、ゲストハウスで大人数で生活を共にして、夜は呑んで、朝イチで古総湯で汗だくになり、2階で涼んで、専光寺で講義を受けて、皆さんと言語を用いて対話する。こういう風に、肌感覚で人が繋がることは、現代の頭でっかちな世の中ではあまり体験できないと思います

そして、その上で、「vision +」での作品発表者を決める。まだ出会って1日、2日しか経っていない方々とすごくパーソナルなお話もして、その上で「vision +」での作品発表者を決めることは、作品を制作する者として、作品や、制作活動の価値をどこに置くのかということを考えるとても良い機会になりました。
vision投票用紙にも記載しておりますが、私が作品制作をする上で大切にすることについて改めて考えると、自己表現を超えて、なるべく作品を相対化⇄具体化の往復のプロセスを諦めない姿勢が大切なのではないかと思いました。そのプロセスを丁寧に踏んでいることが作品の価値になるのかなと思いました。人となりやバックボーンも作品に少なからず影響はありますが、自己表現の枠を超えた表現を見てみたい、自分でもそのような作品を作りたいという気持ちを改めて感じました。

森田愛美

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、特に今後の活動のプラスになったことなど。

年代問わず多種多様な経験、考えを持った様々な表現者が集まり、表現とは人生とはなにかをひたすら深く考える2日間だった。
講師陣含め各々がやっている事も個性も思想も全く違うが、それぞれが真剣に、本気で自らの表現を追求していることには変わりなくて、その表現者としての姿に刺激を受けた。
私自身、今回の受講を経て、生きている限り自分の表現を追求していきたいという覚悟が生まれた。
自分はどこか保守的で受け身であったことにも実感させられ、もっと素直に向き合ってもいいんだ、ということを気づいた。
様々な視点を持ち、他者と自分の思想に触れることができた今、自分のやりたい事を信じて表現に昇華することが出来る気がする。
今回のプログラムは一つ一つの講座に限らず、山代温泉に到着した時から別れを告げる時まで、あらゆる全ての事柄に感情を揺さぶられ思考を巡らせる、とても学びの深いものだった。
そしてなにより人との交流がこんなにも楽しいものなのだと気づくことが出来た。

プログラムに対してのご意見・ご感想など。

このプログラムは舞台などでは無く専光寺という場所で行われること、そして一切踊りなどをせずに座学であること、あまり関わりのない業界の方たちの講座、これがとても素晴らしい事だと感じた。普段ダンスから自己紹介が始まるような界隈でこういった2日間通して全く踊らないで交流をするという珍しいプログラム自体にも大きな発見があり、とても面白かった。

大月侑

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、特に今後の活動のプラスになったことなど。

作品を創って、発表して、評価を受ける、というサイクルの中で、評価を気にしすぎるあまりに、作品にしたい本当の想い=本心の部分が自分でも見えなくなっていたことに気づきました。
今回の講座が、いきなり作品を創りながら話を聞くようなものだったとしたら、最後まで本心を覆いながら人にウケる形にしようとしてしまっていたと思うので、とにかく話を聞いて、自分の言葉を話す2日間でよかったと思います。今後の創作活動においても、自分の価値観は何なのか、そこからくる作品の種は何なのかを見極められるのではないかと期待しています。

また、短い期間ではありましたが、山代温泉の風土に触れられたことも非常によかったです。日本にはまだまだ自分が知らない場所があって、そこに足を運んでみるだけでも、自分の視野が広がっていきそうな希望を感じました。今は東京を拠点に活動していますが、参加者の中には日本中を飛び回っているような方もいらっしゃったので、私ももっと色々な場所と人に出会って、心を耕していきたいと強く思います。

プログラムに対してのご意見・ご感想など。

本当に色々な方の支えがあってこのプログラムを享受できているのだなと思いました。昨年に続いて、前向きな想いでプログラムを形にしてくださって、本当にありがとうございました。私も、いつかは参加者側ではなくこういう活動の一端を担えるように精進したいと思います。