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レポート/アンケート

講師等

山口 剛

合同会社ネクストステージ/サウンドエンジニア(舞台音響)

-あなたは、どういう振付家を育てたいと思いますか。

『育てたい』という感覚とは少し異なるかもしれませんが、テクニカルのチームとともに舞台を作り上げていく上で、必要な事は何かを知ってもらいその上で慣れていない方には不安を感じず一緒に考えてくれる仲間だと感じてもらえる事を期待しています。

 

-また、そうした振付家を育てるために、何が大事だと考えていますか。

技術的な事やその知識以上に、どのような表現をすればお互いが理解できるか、どのようなことが難しかったり時間を要することなのか、お互いが不安を解消してしっかりとクリエーションに向き合えるかということを我々技術者も含めて実際に劇場入りする前にしっかりと話し合いができることが大事だと思います。
具体的な例をあげれば、予算の関係で初めて公演を担当する音響オペレーターを劇場入り期間だけ依頼し当日キューチェックをする形を取ると、限られた時間の中で音響オペレーターは『言われたことを正確に行う』事に注力してしまいます。技術の差によって結果は変わるとは思いますがそれだけでは振付家自身が稽古で音楽を流している事と『創造性』の上では何も違いはありません。しかし、事前の準備の工夫や当日の時間の使い方次第では音響家や照明家の持つ創造性を引き出すことや、アイディアをもらったりすることもできると思います。

 

-実際に行ってみてどうでしたか。また、期待していたこと、これから期待することなど、お聞かせください。

講座では様々な経験値の方がいらっしゃり、舞台中音の作り方や調整の仕方をご存知なかったり、『10秒のフェードアウト』という言葉の感覚の違いなど色々とお互いに気付くこともあり、振付家も技術者も前向きにより良いものを作りたいのに伝わらないもどかしさを感じているという意見交換もすることができました。

2-2で回答した内容も含めて、こういった機会はお互いにとってとても貴重で大きな経験になると私自身も感じました。
またこういった経験を通し舞台音響家の立場として、振付家を育成するだけで無く我々技術者や作曲家など支える立場の人も共にお互いやダンスを理解して学びを深めていくことが私が担当した名古屋やその他の地域でも必要であるという思いを持ちました。

ぜひ今後、『ダンス公演を作るために』などのテーマでざっくばらんに色々な立場の人が交流や意見交換(今回の公演後の打ち上げの様な雰囲気で)をする機会を作って頂けたらととても良い経験になると思いました。