Report/Survey

レポート/アンケート

上演作品振付家

森田愛美

振付家・ダンサー

山代温泉『空間感覚で広がる演出・振付の世界 vision+』

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、
特に今後の活動のプラスになったことなど。

振付家とは、ただ作品の構想を練ってそこに振りをつける、という単純なものではありませんでした。ダンサーを引き上げなくてはならなかったり自分の表現したい事をどこまでダンサーに理解してもらえるか、踊りに限らず空間までも演出(振付)していく、などダンサーと振付家の関係性、振付家の役割、立場を身をもって体験しました。
創作期間、ダンサー目線と振付家目線が常に自分の中にあり、どっちつかずの状態で創ったがために出来上がった作品を見て「これがしたかった表現だっけ、?」と自分の表現したいことと表現された物を見て違和感を持ちました。ただこの違和感を持てたことは自分にとって非常に大きいことであり、これから作品を創作していく中で、どこにマインドを置くのか、捉えられたような気がしています。
そして、今回他の作品を見ていて表現とは、踊りとは何かということについて今一度深く考えるきっかけになりました。お寺というステージ空間では無い場所で踊ったからこそ、今までのように踊ることに全力で、表現することに全力でいる自分が空間から浮いているような、馴染めていないような感覚がありました。他の方の作品を見ると、ダンス作品というより自分の表現方法の一つとして踊りが用いられているという印象でした。ダンスのための表現なのか、表現のためのダンスなのか、圧倒的に後者をしたかったにも関わらず意識としては前者よりになってしまっていたなと思います。表現を追い求める身として表現と踊りの関係性を改めて考え直したいと思いました。

プログラムに対してのご意見・ご感想など。

沢山の方から様々な視点で意見や感想、質問を頂いて、自分では気づくことのできなかった作品の見え方を知り、そこからさらに表現を発展させることが出来ました。本番までに講師陣を含む沢山の方に見て頂ける環境があったからこそ積極的に対話することが出来て、改めて恵まれた機会だったと振り返っています。感想では大半の方から同じような意見を貰いました。内容としては、「高校ダンスっぽい」「ステージダンスっぽい」等です。この意見は創作者の私としても納得がいってなかった部分でもあるし、今の1番の課題としています。創作においての固定概念や、学んできた型に沿って作品を作るのをやめて、基盤はありつつ、そこからどうやって自分の表現を生み出していくか、この課題に今後は向き合っていきたいです。そのためにも、守られていた自分、守りに入っていた自分を取っ払って、新たな世界や人と出会い、なにか新しいことでも始めてみようと思いました。沢山の方から頂いた言葉の中で、この「もっと色んな世界を知る」というのも多くありました。今回のWSを体験して、本当に多種多様な個性ある方々に出会い、それぞれの思想や信念を伺えて、「こんなに面白い人が世の中には沢山いるんだなぁ」とつくづく思いました。意外と身近な所に面白いことや人が潜んでいるかもしれないと今回感じたので、それを見落とさないように、自分から1歩踏み出して色んな所へ飛び込んでいき、出会いを大切にしようと思います。