【ダンスでいこう‼2024】10/5松山:「カラダでTRY ANGLE」終了しました!

2024.10.6

ダンスでいこう!!2024 松山プラットフォーム:『カラダでTRY ANGLE』が終了しました。

松山では、<体験する><創る><観る>の3つの場が豊かな土壌に育つことを願って、2019年から当プログラムを始めて4回目になります。今年は松山出身、NYで活躍する振付家・山本奈美さんを招聘し、ワークショップを経て成果上演とダンスを語る場を行いました。
企画・運営:オフィスモガによるレポートをお届けします。

プログラム詳細:https://choreographers.jcdn.org/program/d24_matsuyama

 

📝松山:『カラダでTRY ANGLE』について

2024年8月8日~10月5日 
オーディションワークショップ:8/8(木)
クリエーション①:8月16日 (金) 
クリエーション②(オンライン):9月14日 (土)
クリエーション③:9月30(月)~10/4(金)
「成果発表公演」「ダンスを語る場」:10/5(土)

■会場:White-dagdag (ダンススタジオ MOGA)
■講師:山本奈美
■「ダンスを語る場」ナビゲーター:戸舘正史

 

🤸‍♂️オーディションワークショップ:8/8(木)

・円になり、音楽にあわせてコンビネーションを踊る
・低い層、中間層、高い層、いろんな層で動きながら空間の端から端までを動いてみる

<2人組>

①「〇〇ちゃん」「〇〇さん」「〇〇」(呼び捨て)で相手の動きをつくる
言葉のイメージによって、動きの質感が変わっていくのが面白い

②相手の動きに合わせて言葉をのせていく
相手の動きから、言葉が生まれてくるまで何度も相手の人に動いてもらう。
言葉が見えてきたら、動きに合わせて言葉をのせていく

一つの動きが話す人の想像力によってまた一つ広がりを持っていくのが見ていて面白く、色んな年齢層の人たちが、フィジカルに楽しく動きをつくったり、円でのコンビネーションを踊っている様子が印象的で、終始楽しくダンスを生み出している様子が印象的でした。

 

🤸クリエーション816 () 

 

オーディションWSで試した内容を、深掘りしていきます。

・「ちゃん」と「さん」「呼び捨て」の違いでの動きをつくる。
・人が動いてるのを見て、1人の人が言葉をつけるなど。

その中で生まれたいくつかのカケラを繋ぎ合わせて、20〜30分の形にして、一旦、奈美さんはNYへ一時帰国されました。

 

📩メールで、NYから宿題が届く📩

奈美さんより:

自分の生まれた年に何があったか調べる。へーと思った発見を書いておく。

ー自分の生まれた年の100年前、200年前、300年前、、、に何があったが調べてみる。

 

あなた戦後何年生まれ?

その数字、って意味ありますか? あるとしたら、何?

 

あなたの生まれた年は、昭和が続いていたら、昭和何年?

あなたの生まれた年は、明治が続いていれば、明治何年?

 

今年は、令和6年。

今年は、平成37年。(平成は31年)

今年は、昭和99年。(昭和は64年間)

今年は、明治157年。(明治は45年間)(大正は15年間)

これで、どうした?って感じなんですが、ちょっとしたことに思いを馳せる、くらいの気持ちで、やってみてくれたら、いいです。

と、ちょっと思いを馳せてみてください。これをきっかけにして、自分の興味のあるところに飛んでもらっても構いません。よろしくお願いします。あと、夢をみる人は、よくみる夢や、最近見た夢など、覚えててもらってたら、とても、いいです。

なみ

 

🤸‍♂️クリエーション②(オンライン):9月14日 (土)

 

事前に奈美さんからメールで「クリエーションの内容」「リーダー」「時間配分」が届きました。

奈美さんとは、オンラインで繋がってはいるけど、奈美さんの画面表示は無しで、基本的にその場にいるダンサーで進めていきます。

時々、チャットで制作スタッフに「これをやってみて」とか「このまま放置で」など、メッセージが入ってきて、制作スタッフがその内容をダンサーに伝え、それぞれワークに取り組んでいきます。

奈美さんは、画面越しにワークをしている様子を見ながら「少し遠慮しがちな空間構成が面白い。」とつぶやいていて、奈美さん自身もその様子を見ながらクリエーションをしているようです。ダンサーたちでの時間配分や、受け取り方の違いなど、少しぎこちないやり取りも含めて奈美さんのクリエーションにつながっているような時間でした。

 

🤸クリエーション③:9月30(月)~10/4(金)

奈美さんを交えてのクリエーションが再スタートです。
ここから、毎日連続のクリエーションが始まります。

この日の最後に一度通してはみたものの、経験値の違いなどから、少し難航しながら進んでいる様子。

・それぞれが創った動きを奈美さんが組み合わせてシーンを繋いでいく
・みんなで1人の人の動きをシェアしたり、自分が自分の動きを踊る

いくつものシーンをバラバラにつくって、少しずつそのパーツを組み合わせていく作業を繰り返します。

「気持ちとしては、こんな気持ち」という音楽をかけ、この曲を使うかどうかわからないけどイメージとして、タイミングのシェアとして・・・無いところにリズムが立ち上がっていきます。
また、3人でのリフトにもトライ、良い感じに動きが生まれ流れがでてきます。今までにやったことのないことにひたむきに向き合い、みんな真剣に向き合っているのですが、突然笑いがやってきます。とにかくよく笑い、また集中、また笑う、集中、そんな繰り返しの4日間のクリエーションが続きます。

 

🤸‍♂️「成果発表公演」「ダンスを語る場」:10/5(土)

成果発表公演では、いわゆる劇場空間としての暗幕やリノリウムを敷かずに、窓からの光が差し込み時間によって変化する空間に少し照明をプラスしていくスタイルでのパフォーマンスとなりました。
日常的に開かれた空間の中で、ダンサーそれぞれが次のステップへと繋がる1分のソロと全体作品の上演。

奈美さんが演出構成された全体作品「通過点〜Passing Point」は、日常の中にいるそれぞれの眼差しに触れる、あたたか味と時代の流れが交錯する不思議な味わいの作品になりました。

 

当日パンフレットより


通過点~Passing Point

私にとっての舞台芸術(Performing Art)の醍醐味は踊ったその瞬間に消えてなくなることです。 そして、たまに人の記憶や感覚の中に印象として踊りの映像が残されることがあります。 今ここに居る自分は、今在りながら、止まることがない。毎日が通過点。 この作品も何回かのクリエーションでダンサーと時間を共有しながら作ったものです。 たかが通過点であり、されど通過点。そして確かに確かな通過点である・あったもの。 確かな自分と危うい自分を行ったり来たりしながら、

10年前や20年前の自分も
昨日の自分も 夢の中の自分も確かにあった・あると 少し思いを馳せながら… 思いっきりクリエーションタイムを楽しみながら… 今に立って作ってみました。

(山本奈美)


奈美さんは、とにかくダンサーを褒めます。そして問います。ダンサーは、褒められる事で自信と安心感に繋がり、問いかけられる中で、もっともっとと深掘りしていく。真面目に必死になってるところを笑いで吹っ飛ばされる。

なんだか巧みな技を見ているようなクリエーション。

奈美さんの真っ直ぐな愛を感じたクリエーションと成果発表の時間でした。

 

🗣️「ダンスを語る場」ナビゲーター:戸舘正史

 

ダンスを語る場では、戸舘さんのナビゲートで奈美さんから、どのようなプロセスで動きが生まれたのか、きっかけや創り方をシーンを追いながら解説していただきました。

例えば、振り付けの中に出てくる「~ちゃん、~さん」は、日本の文化の中でしか使わない言葉で、その言葉を表現にしてみることは、日本でしか試せなことだと話されていました。

奈美さん自身が、NYで作品を作るときには、言葉の面において妥協をしないためにも、必ず日本人ダンサーに入ってもらい、言葉のニュアンスを曖昧とせず詳細まで伝え続けるようにしているという事や、創る中で気を付けているのは、シーンを創る中で一番好きなことは捨てた方が良いと思っている事など、振付に対しての想いや、NYでの作品上演についての予算的な課題などについても伺いました。

どんな状況であれ、自分が見たいものを創る!とにかくリハーサルが一番大好きな時間だ!と笑顔で話す姿はとても印象的でした

大学ダンス部で創作しているという観客からの質問に、

「これは私自身が先輩に言われたことですが、『自分が何が好きかを最初に見つける。例えば風景をみていて、どこに目がいくか? いろんなことに目を向けなさい』と。それを使うか使わないかは自分次第。自分の中に確固たるものがないと、言われたとおりになる。ぶつかっても妥協はしないのも大事。」とアドバイス。

また、奈美さん自身がひとつの作品を創るのに4〜7年かかるそうで「時間をかけただけ生まれるものがあるから、今回たった7日間で作品作りをするのはチャレンジだったけれど、今回やってみて、ダンサー自身が向こうから歩いて来てくれると、作品の重みが生まれると学んだ」というコメントも印象に残りました。

戸舘さんのナビゲートを中心に、どちらの回も、観客・ダンサー・振付家の素直な気持ちや言葉が聞ける時間となりました。 

 

左:参加ダンサー/右:運営スタッフと奈美さん