Report/Survey
振付家・ダンサー
今回のプログラムに参加し、「振付」という行為の多様な可能性を改めて発見しました。これまで私は、振付とは身体の動きを構成することだと考えていましたが、このプログラムを通じて、空間、音、言葉、映像など、身体以外の要素も作品を構成する大切な要素であることを実感しました。特に、異なる背景を持つ振付家たちが、それぞれの思考方法や感性から作品を生み出している姿に大きな刺激を受け、自分の発想の幅が広がりました。
また、競い合う関係ではなく、互いを尊重し、支え合う環境の中で創作を行ったことは貴重な経験でした。安心して自分の考えを共有できる場では、自然と他者の意見を受け入れることができ、自分の中にも他者を包み込む力があることに気づきました。こうした信頼関係の中で、個人としても表現者としても成長することができたと感じます。
実践の中では、劇場空間を離れた環境での創作を経験し、空間の読み取り方や音の方向・質感への意識が高まりました。さらに、作品にふさわしい身体の質感を探る過程で、これまでの「自分の得意な動き」から離れ、作品に必要な新しい表現を模索することができました。この挑戦は、自分の表現の幅を広げる大きな一歩となりました。
また、対話と記録の重要性を強く感じました。グループでの話し合いや、自分の考えを言葉にする過程で、頭の中にあった曖昧なアイデアが整理され、新しい発想が生まれる瞬間を何度も体験しました。言語化することで、思考と身体の関係がより明確になり、創作に対する理解が深まりました。
このプログラムを通して、振付とは単なる技術ではなく、独立した思考と表現を伴う創造的な営みであることを学びました。今後は、自分の表現の方向性をより明確にし、共通の理念を持つ仲間と協働しながら、より自由で多様な作品づくりに挑戦していきたいと思います。
このプログラムを通して、私が特に考えたのは「振付という創作活動の特徴」です。振付は他人と競うものではなく、互いに支え合い、高め合う行為だと感じました。他者と比べるのではなく、自分自身と向き合い、「自分が本当にやりたいことは何か」「何を避けたいのか」を見極めることが大切だと思います。
美意識や身体の探求は、一朝一夕で得られるものではありません。長い時間をかけて少しずつ積み重ねる中で変化が生まれます。短いプログラムの期間でも、自分が積み重ねてきた努力の確かさを実感し、誰にも奪えない自分の経験として再確認することができました。
また、他の参加者と意見を交換する中で、自分の考えを言葉にし、立場をはっきりさせることの大切さを学びました。話し合いの中で、自分が何を支持し、何に抵抗を感じるのかが見えてきます。そして、その抵抗の理由を探ることで、新しい考えや創作のヒントが生まれました。この過程は、自分にとって大きな成長であり、創作の「自分の軸」を確認する時間になりました。
さらに、「観客との関係性」についても深く考えました。観客はただの消費者ではなく、作品も商品ではありません。振付家として観客と関わることは大切ですが、それは上下の関係ではなく、対等な関係であるべきだと思います。人と人との対話のように、衝突や誤解を恐れず、互いに心を開き理解し合うことが、表現の本質に近いのではないでしょうか。
もし作品が観客をただ楽しませることだけを意識して作られると、表現は「優しすぎる」ものになり、創作の自由や挑戦を失う危険があります。私は、観客に心地よさだけでなく、問いや違和感を与える作品を作ることで、より深い関係を築きたいと思います。
このプログラムを通して、私は「自分は何者か」「なぜ創作するのか」という根本的な問いを考える機会を得ました。今後もこの学びを大切にし、他者と共に考え、揺れながらも誠実に創作を続けていきたいと思います。