Report/Survey

レポート/アンケート

出演者・参加者

田村興一郎/DANCE PJ REVO

振付家・ダンサー

<2025年度>

大船渡「三陸の郷土芸能を習う旅2025」

参加されたプログラムについて。発見したこと、吸収できたこと、振付家(または振付家を志している)の方は、
特に今後の活動のプラスになったことなど。

学んだ郷⼟芸能は⾦津流「浦浜念仏剣舞」と「獅⼦躍り」 。1週間の体験。演⽬のほんの少しの部分だけ練習した。慣れない動きと、異常に重い装束を纏って軽やかに動くことで、どうしようもなく、⾁体への負荷が掛かってくる。なかなか難しかったが、とても楽しかった。何よりとてもいい経験だった。
ここが踊られる場所は岩⼿県の沿岸部ということもあって、東⽇本⼤震災の時の話も聞いた。⾊んな財産が津波によって流されたけど、装束のお⾯や被りものはなんとか救出できたという。⽇本⼈が⼤切にしてきた伝承を絶やしてはいけない。そんな想いが、きっとそんな奇跡を起こし、災害を乗り越えたのだと思う。 「震災の時に⽣活ではなくて、芸能を先に復活させた。 」そんな魂の⾔葉を聞いた。逆境を乗り越える底⼒こそが、踊りひとつひとつの強度がある根拠となっているのだ。
これは勉強になった。私⾃⾝が⼿掛けるコンテンポラリーダンスが、もっと時代に名を残し、儚さだけではい、強さを保つためには、きっとこういう話を聴いたり、実際に⾝をもって学ぶことが⼤切なのだと気付かされた。そして、コンテンポラリーダンスを教えているキッズクラスの⼦供達が、いずれ⼤⼈になった時に、「この踊りを⼤切にしていきたい。 」と⾔ってくれるのが理想だ。思いを伝承していき、芸能を残して⽣きたい。いつか無形⽂化財と称されるほどの踊りを残していきたい。たとえ、私がこの世からいなくなっても、継がれるようなダンスを。

プログラムに対してのご意見・ご感想など。

最近の私のダンスの活動の幅は、ありがたいことに広がってきている。先⽉は、 「地元の例⼤祭があるから、その前⽇の宵宮にむけて、神楽の奉納っぽいダンスを、地元の⼦供達が舞⼿として披露してほしい。 」という話があった。そこから、私が伝統芸能を本格的に学んでみたいという冒険が始まった。YouTube で⽯⾒神楽や、巫⼥舞の映像を参考に、オリジナルの舞を作って、⼦供達へ振付をうつした。コンテンポラリーダンスのキッズクラスの最初の発表会が、いわゆる無難なイベントステージや広場とかではなく、“神社で踊った”という事実は、とても⾯⽩い取り組みだったと思う。そしてこの神社の歴史上、初めて神様に向けて舞を披露した事実は誇りである。 「この舞は、いずれ我々が死んでも、残していって、新しい世代に伝承していきたい。 」そんな思いが⾼まった。それは地元の⼈の期待の声でも
ある。だからこそ、⻑い時間をかけて、この舞を⼤切に踊っていきたいと思う。そんな気持ちが、今回の JCDN の習いに⾏くぜ「三陸の芸能を習う旅」で郷⼟芸能を学びたいと思ったきっかけになった。
コンテンポラリーダンスは“儚さ”も魅⼒の⼀つである。ただ、⽬の前で、キレキレでかっこいい踊りを届けるものだけではなく、社会という同時代に⽣きる我々に考えさせるメッセージを残している。想像⼒を使わざるを得ない、いわゆる知的好奇⼼が湧いてくるような深みを、ダンスから感じさせてくれる、⾯⽩いアートのコンテンツだと思う。そこには、
“消費”という⾔葉はどうしても切り離せない。やはり絵画とは違って、ダンスという瞬間芸術は、消えていくものである。私はこの儚さもなんだか美しくて、素敵だなと感じている。だからこうして作品を作り続けているのだ。しかし、その点において、伝統芸能はどうだろうか?どちらも同じ舞であって、同じダンスなので、それは瞬間芸術だと⾔えるし、何も残らないものと捉えてしまえば確かにそこに異論はないのだが、コンテンポラリーダンスとは、何か違うような感覚もある。これは伝統芸能を学んだ後に、⾃分の中で整理して、導いた答えだが、それはまさに「昔の⼈が⼤切にしてきた踊りを守りたい」という⼈の“想いの伝承”があるか、ないかである。これまで私が⼿掛けてきた振付作品に、そんな想いは⼀切なかった。いや、環境などが原因で普通なら、伝統に携わることは普通なら難しい話だと思う。
だからこそ、三陸の芸能を習う旅という事業は、重宝されるものであるのだ。
コンテンポラリーダンスの振付作品は、もちろん、先⼈たちに残していきたいし、わたしの作品も⼤切に残したほうが良いという気持ちはある。しかし、時代と共に過ぎ去って、消費していくものだと私は感じる。これはただの美徳ではあるが、昔の作品を何度も再演する活動はしないようにしている。時代と共に我々アーティストの価値観も変容していき、過去に固執しないというのも、⾯⽩いダンススタイルだと思うからだ。そもそも、私⾃⾝が、同じ作品や振付に飽きてしまう。同じダンスは少し退屈だ。


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