【ダンスでいこう!!2025】大船渡「三陸の郷土芸能を習う旅」〈参加者レポート⑤:田村興一郎〉
2025.1.20
「三陸の郷土芸能を習う旅」に参加した振付家のレポートを順番に紹介していきます!
👉【ダンスでいこう!!2025】大船渡:「三陸の郷土芸能を習う旅」
習った芸能:浦浜念仏剣舞・金津流浦浜獅子躍(大船渡市三陸町越喜来)
日程:10月6日(月)~11日(土)
参加振付家:大久保裕子、大橋武司、坂口友紀恵、白濵凪沙、田村興一郎、葉山悠介、彦根由実
■プログラム詳細▶️ https://choreographers.jcdn.org/program/d25_ofunato
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郷土芸能「浦浜念仏剣舞」と「金津流浦浜獅子躍」という、郷土芸能を1週間体験。岩手県は日本一を誇る民俗芸能の街ということで、そこで二つも学ばせてもらえるなんてとても贅沢な経験でした。
念仏剣舞は悪霊を供養する踊りとして古くから伝承されていますが、“東日本大災害をきっかけに被災された霊たちを鎮めることになった”と話していました。苦悩、喜び、様々な想いを乗せて、その地域で大切に踊られているからこそ、岩手の郷土芸能は無形民俗文化財として、日本の宝になったのだと思います。伝承館の方々は、余所者の我々を、快く迎えてくださり、そして厳しい踊りの指導も頂けました。この経験は我々アーティストにとって掛け替えのない時間になりました。
剣舞特有の地面に深く根付くように、腰を下ろす動きと、その足運び。そしてその低い姿勢と、絶妙な角度の維持。もう2日目から足腰への疲労が絶えません。しかしその痛みは、単に肉体が悲鳴を上げていたわけではなく、学べている“喜び“の声だと思っているので、全く苦痛ではありませんでした。普段の私のダンス稽古では、これまでに一度も(17年間)ストレッチ(アップ)をサボったことがありませんでした。しかし、伝承館の皆様は一切、アップを行いません。その理由を聞くと、「じゃあトイレに行く時にアップする?」という。なるほど…。最初にその話を聞いた私は、本気で伝統芸能に向き合うために、皆様と同じようにアップをせず、1週間、芸能の稽古に励みました。正直、このぎこちない身体で踊りの稽古することは、今でも少し気持ち悪い感覚が残っていますが、この身体感覚がとても新鮮で、味わったことのないダンスを存分に感じることができました。だからこその、”喜び“だったのかもしれません。
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獅子躍は、装束の付け方から難しい。竹や馬の毛で出来た、厳かめしい獅子の顔。その下部に複雑につながっている布。サラシを駆使して、ひとつひとつ丁寧に装束を身に纏っていく。2〜3時間は掛かっただろうか?初めての人にとっては、なんて気の遠くなる作業だ…と感じます。しかしその複雑なサラシの結び方は、決して解けず、激しい動きに耐えられるようになっています。昔の人の知恵がグッと詰め込まれている仕組みに、とても感動しました。私がこれから作品の創作を手がける際に、この先人の知恵をお借りしたいです。そんな重たい装束(約15キロほど)を纏って、重力を無視し、軽やかに動きます。足、腰、首への負荷が尋常じゃないほど、掛かってきます。特に私が被った獅子は“ささら”と言って、その踊りの中でも一番偉い役だと言います。そのためか、他の獅子の被り物よりも明らかに重くて、少しでも首を曲げると、首の筋を痛めてしまいます。私はモノから与えられる身体負荷を表現に起こす稽古を重ねていますが、そんな身体負荷を極めている私でも、投げ出したくなるほど、きつい。生半可な覚悟では、到底馴染めないと感じました。もう一度、踊りに行きたいか?と問われたら、少し考えます…。でも記憶にしっかりと刻み込まれました。
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剣舞と獅子躍は、どちらも振付を覚えることよりも、太鼓と歌に合わせるのがとても難しい。「ちゃんと踊ることよりも、祈りを込めることが大切。」という話を聞いて、私は動きを完全にマスターすることよりも、想いを込めて丁寧に踊ることに集中しました。そもそもこれはお客さんのためではなく、“神様に見てもらうための踊り”です。この地域で、大切に踊られている理由を考え、亡くなった方の想いを聴きながら、踊りました。岩手県の沿岸部だから、やはり災害を被っています。色んな財産が津波によって流されたけど、剣舞の装束のお面や、獅子の被りものはなんとか救出できたと話していました。「日本人が大切にしてきた伝承を絶やしてはいけない。」そんな想いが、奇跡を起こし、災害を乗り越えたのだと。「震災の時に生活ではなくて、芸能を先に復活させた。」そんな魂の言葉を聞きました。逆境を乗り越える底力こそが、踊りひとつひとつに強度がある根拠になっているのだと感じます。だからこそ、伝統芸能を学ぶことは、自分の(未来の)表現を強くしてくれることでもあるのだと感じました。伝統芸能、刺激的で、とても楽しかったです。また学びに行きたいです。
田村興一郎
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