〈ダンスでいこう!!2025 特待生レポート〉高梨玲 from 京都【参加プログラム/松山『ダンスをつくる芽』】
2026.1.16
「ダンスでいこう!!」2025の特待生、京都を拠点に活動する高梨玲さんのレポートをお届けします。
参加プログラム
【ダンスでいこう!!2025】松山:「ダンスをつくる芽」
■講師・メンター:yummydance<宇都宮忍、合田緑、高橋砂織>、赤丸急上昇<赤松美智代、丸山陽子>、山内知江子(チェコアニメ作家)、高橋正和(照明家)
■日程:2025年12月11~14日
プログラム詳細 https://choreographers.jcdn.org/program/d25_matsuyama
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2025年12月11日〜14日の4日間、松山で行われた振付家育成事業『ダンスをつくる芽』に参加しました。
この文章を考えている今は12月末で、すでにプログラムが終わって2週間以上経っています。プログラム期間中の4日間は、朝から晩まで落ち着く暇もなく、メンターの方からの言葉を噛み砕いて理解するのに必死で、あっという間に過ぎていった気がします。京都に帰ってきてゆっくり自分のペースを取り戻しながら、プログラム期間中のことをじっくり振り返ると、その時よりも深く、たまに広く、作品を創るということについて考えることができている気がします。
今回のプログラムで印象的だったのは、“クリティカルレスポンス(CRP)”という方法で作品を掘る、ということでした。
メンターから何か方法を学んで試してみる、というものではなく、メンターとの対話を通して、私が作品を通して何をしたくて(もしくは何を伝えたくて)、今それは見ている人にどう映っているのか、見ている人に伝わるようにするにはどうしたらいいのかを考え、一緒に整理する。そんなイメージです。
プログラムに申し込んだ時は、正直なところ、CRPが何かということをあまり理解しておらず、2024年に本格的に振付を始めて、絶えず作品を創る機会を持っておこうということしか考えていなかったと思います。参加が決まった直後、CRPの中で、メンターに聞きたいことを具体的に考えてきてくださいというタスクが渡され、いざプログラムの日が近づき、この質問の準備をしようとすると、質問が全く出てこず。
『私は、まだテーマと動きをどう繋げて立ち上げるか、自分らしさを考えるフェーズにいて、それは誰かに相談するものなのか。』
『今の私にCRPはまだ早いんじゃないか。』
松山に出発する当日までこんな事を考え、結局これといった質問は準備できず。
初日のクリティカルレスポンス。
呼吸していたのかどうかもわからない緊張の中のショーイング。
初めてのCRP。
メンターから心に残ったシーンのフィードバック、メンターへの質問、メンターからの質問と意見。
最初の2日間でたくさんの”理由と意味”を聞かれました。
『最初のシーン、なぜ後ろを向いているんですか?』
『その距離感は意図的ですか?』
『なぜその衣装なんですか?』
たくさんの”なぜ?”に対して答えを探す自分。
最初は淡々と進められる6組分のCRPに、何かすごくシステマチックなものを感じ、言葉を発することを制限されている感覚があったのですが、ふとホテルに帰って会話のやり取りを思い返してみると、自分がどこまで意図していて、どこまでを現象やビジュアル的な面白さとして許容しているのかを、そこで初めて具体的に認識したように思います。
『全部に意図や意味が必要な訳ではないけど、それを自分で選択しているという意識』
そもそも
『なぜ踊りたいのか』
『なぜ創りたいのか』
という根本的なところまで考えが広がる。
自分の選択に、あえて言葉を、時間をかけて乗せてみる。
誰かに教えられるものではない自分自身の気付きを、メンターへの質問やメンターからの質問を必死に考える時間を通して、確認することができたと思っています。


嬉しかったのは、メンターの方が、「私が何を見せたいと思っているのか」に対して、少しでも理解しようと寄り添ってくれたところ。
今回MOGAに来るのは2回目で、1回目も2回目も、毎回会って心が嬉しくなる。
ただ、誰かに作品のフィードバックをもらうことはとても不安で。
私は作品に、こんなに時間をかけてフィードバックをもらうのは初めてで、来る前からかなり構えて、自分のメンタルに鎧を着せてきましたが、そんな必要は全くなく、メンターの方は『どうしたら私が作品をより納得いくものにできるのか』に4日間夜遅くまで付き合ってくれました。
作品を創ることは、それを誰かに見てもらった時点で、もう私だけのものではない感覚があります。作り手の意図と見る人の受取方が違うのがとても面白い。そこに対話が生まれて、また私は思考しなおす。それを繰り返して、私自身を理解することに近づくような。かと思えば、なんか遠のいていたり。
今は何かに到達しようとせず、身体と感情が素直に結ばれる場所を、踊りを通してひたすら探しながら、ああでもないこうでもないを繰り返すその時間を大切にしたいなと思える期間でした。
今後は、今とは異なる環境にも身を置き、そこでの人との関わりや景色、踊りの在り方に触れながら、自身の予想すら裏切れるような“旅する作品”を、コツコツと焦らず丁寧に、たまに自分自身をプッシュしながら創っていきたいと思います。
高梨玲

泰山咲美、Riryong Ko(松山・京都)「カリカラ」
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👉「ダンスでいこう特待生」制度:
これまでにJCDNのコンテンポラリーダンス新進振付家育成事業に参加したことのある振付家が「ダンスでいこう!!」特待生対応プログラムにおいて、受講料の免除、移動費の補助等によるサポートを受けられる制度(サポート内容はプログラムにより異なる)。
2025年度の応募要綱▶️ https://choreographers.jcdn.org/opencall/d25_tokutai_yoko
👉高梨玲 過去の参加プログラム:
【ダンスでいこう!!2023】松山:「身体でTRY ANGLE」(鈴木ユキオワークショップ作品へ出演)
詳細▶️ https://choreographers.jcdn.org/2023/program/dance-it-is_matsuyama.html
